企業のカルチャー(企業文化)は、事業を推進していくうえで最も重要な要素の1つ。しかし、「 あなたの会社はどんなカルチャーですか」と問われてスラスラと答えられる社員はあまり多くないかもしれません。言葉に表せない暗黙知のようなものだ、と言う人もいます。

この記事ではそもそもカルチャーとは何なのか、なぜ大事なのか、そしてそれを組織に浸透させるにはどうしたらよいのかについて迫ります。

 

 

1.カルチャー(企業文化)は作るもの?

ではまず、企業文化「カルチャー」とは何なのかを見ていきましょう。

 

企業文化の定義


企業文化とは、企業が戦略を立てて実行する際に、何を優先し、どんな意思決定をするか、判断基準となる羅針盤です。企業にはパーパスやビジョン、ミッションといったありたい姿や目指したい方向性を示したものがあり、それを日々の行動に落とし込んだ指針やバリューといった従業員に求める心がけがあります。指針やバリューを起点として、社員の誰もが、いつでも、どこでも、同じような行動ができるように、「カルチャー」を意図的に醸成します。

企業文化と組織風土の違い


企業文化と言えば、目に見えないもの、なんとなく社員の間で共有されたものというイメージがあるかもしれませんが、日本においてそうした曖昧なものは別の言葉で表現されることが一般的です。職場の雰囲気や人間関係から生み出される暗黙のルールや習慣は「組織風土」、社員や社外の人が感じる会社の特徴は「社風」であり、これに対し「企業文化」は作り出すものと捉えられています。ただし、厳密に定義が決まっているわけではなく、言葉を区別することよりも、重要なのはこれまでそこに自然にあるものとして捉えられがちなカルチャーを、今、企業が積極的に作ろうとしていることです。

 

 

具体的な企業文化の例

「カルチャー」を作ることができるのだとしたら、それが何なのかを共通言語として持つ必要があります。ではカルチャーは一体どのように表現されるのでしょうか。

 

メルカリ

例えば、成功してるスタートアップとして名高いメルカリ。オープンで自由なカルチャーであるイメージがありますが、採用ページに「カルチャー」と題したページを組み、何を大事にしているかを説明しています。社員の生の声を集めた動画と共に、社外の人にも伝わりやすくなるよう工夫されています。

メルカリの企業文化

(引用:メルカリウェブページより)

 

ネットフリックス

強烈なカルチャーとして名高いネットフリックスが、自社のカルチャーをまとめた「カルチャーデック」(今は「カルチャーガイドライン」)を社外に向けても発表していることは有名です。初めて発表されたのは2009年、当時125枚にもわたるスライドは、FacebookのCOOのシェリル・サンドバーグに「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と絶賛されました。長い文章ではありますが、社員にどんな行動を期待するかがしっかりと明文化されています。

ネットフリックスの企業文化

(引用:ネットフリックスウェブページより)

 

ギークス

IT人材のマッチングとゲームやアプリ開発を手掛けるギークスでも、採用サイトに「CULTURE」のページで価値観や社内制度、オフィス環境を写真やイラストでわかりやすく伝えています。

ギークスの企業文化

(引用:ギークスウェブページより) 

 

このように、企業はどういったカルチャーを醸成したいかを明確にしたうえで、それを実現するために制度や環境に落とし込み、さらにこれから入社するであろう外部の人に対してもわかりやすく説明して、社員を含めた会社全体でカルチャーを作ろうとしているのです。



2.なぜ今カルチャー作りが大事か

マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカーは、「企業文化は戦略に勝る(Culture eats strategy for breakfast)」という名言を残しました。企業のカルチャーが経営の成功のカギを握ると言っても過言ではありません。 ではなぜカルチャーはそれほどまでに強力なのでしょうか。良い戦略だけでは企業は存続できないのでしょうか。 特に今、先が読めない変化が大きいVUCAの時代にはカルチャー形成が欠かせない要素となっています。その理由として「事業環境の変化」と、「労働環境の変化」の2つが挙げられます。

事業環境の変化

テクノロジーの進化や技術の発展・汎用によりコストが下がり、ものごとの変化のスピードがかなり速くなりました。意思決定も迅速に、しかも誰もやったことの無いものにチャレンジしたり、答えのない問いに答えを出していかないと、競合に勝つことができません。計算式で導き出せる正解やフローチャートのようなマニュアルでは対応できない時、どうしたらいいでしょうか。
私たちが人生のパートナーと共にあらゆる決断を下す時と同じように、目指したい方向性や価値観が判断基準の拠り所になります。部署や仕事内容が違っても、社員1人1人が会社のありたい姿を理解し、統一された価値感で行動を取っていれば、その会社にとっての正しい判断はできます。また集団で同じ基準で行動していれば、統一感も生まれ、大きな力を発揮したり、社外から信頼感を得ることもできるでしょう。新たな勝ち筋を実現するのが企業文化ということになります。

事業環境の変化

 

労働環境の変化

新型コロナウィルス感染拡大に伴い、リモートワークと共に家族の面倒を見たり、時間的な管理から成果重視で監督されるようになり、中には突然の休業を宣告されるなど窮地に立たされたり、多くの人々が「働く」こと自体を見つめなおすきっかけとなりました。 また働き方改革が叫ばれるようになり、1社に朝から晩まで没頭するのではなく、メインの仕事を終えた後に自分の時間の中で「働く」ことを通して自身の能力を高めるために、副業や兼業をする人も増えています。
本業の会社では、社員の求心力が何もしないままではどんどん低下していくとも言えるでしょう。また副業先の会社においては、個人に課したタスクをこなす以上に会社への貢献を求めていくには、社員が「尽力したい」と思える意味付けが必要です。「この会社なら自分も貢献したい」と社員やメンバーに思わせるものが企業文化なのです。

労働環境の変化



3.どうしたらカルチャーを作れるか

カルチャーは作れるものであり、そして今の時代は企業が生き残りをかけてカルチャーを作っていることはわかりました。ではどのように作っていけばいいのでしょうか。
答えは簡単です。何かものごとを作りあげるときと同じように、構想を練り、施策を考え、実行します。具体的には、①あるべき企業文化の理想像を描き、②そのカルチャーが実現するような仕組みを整え、③社員1人1人に浸透させていくことです。

 

理想像を描く

まず何事も作るにはその設計図が必要です。カルチャーとしてありたい姿は何か、それを何らかの形で明文化することが第一歩です。大事なのは正解を求めることではなく、その会社にとってあるべきものを考えることです。
これは人事担当者だけが考えられるものではありません。また経営者の独断と偏見で決めるものでもなく、経営戦略に即したものである必要があります。わかりやすい言葉で表現し、バリューや行動指針(クレド)といった文書に落とし込みます。

 

仕組みを整える

組織の構造には、大きくとらえると「3S」と呼ばれる3つの要素があります。1970年代に世界的経営コンサルティング会社・マッキンゼーにより提唱された「7S」という、7つのSから始まる企業評価フレームワークの要素のうち、ハード面を指すものが3つあり、それが「Sturcture(組織骨格)」「System(制度・ルール)」「Staffing(人材配置)」の「3S」です。
カルチャーの形成においても非常に重要な役割を果たすので、うまく設計することによりありたいカルチャーの姿にもっていくことができます。

Structure(組織骨格)
具体的には組織図に表現されるものです。組織図は単に上下左右の連絡系統を示すだけでなく、企業の戦略そのものを表します。どのような独立した部署を持つのか、どのくらいの人員が割かれているのか、何の事業が優先されているのか、どのような意思決定フローになっているのかなどを読み解くことができます。
例えば「オープンなカルチャー」として企業文化が表現されることはよくありますが、組織構造自体が、上下左右関係なく意見の言いやすい体制になっていることも必要な要件となります。

System(制度・ルール)
社内制度やルールには大きく3つの観点があり、①意思決定、②お金、③人に分けられます。
①の意思決定における制度やルールは投資のルールだったり、権限規程、会議体などです。②のお金は予算策定がわかりやすい例です。③の人に関しては、職位や職階の制度、人事評価や報酬体系などです。
カルチャー形成でわかりやすいのは「人」に関するものでしょう。例えばチャレンジ旺盛な文化を作りたいときには、挑戦する社員に高い評価と報酬を与えるような制度を整えます。

Staffing(人材配置)
どんな人が重宝され、昇進し、意思決定をする立場についているかというのも文化を象徴します。また新しく新卒や中途を採用する時の基準にも、どんな価値観を持つ人に入って来てもらいたいかを反映します。冒頭で紹介した例で挙げたように、採用ページでカルチャーが紹介されるのは、文化に合う人を採用し、文化を強化していくためでもあります。

 

浸透させる

上記のように仕組みでシステマチックに人の思考に組み込んでいくのと同時に、従業員に対し積極的に何度も働きかけることも必要です。企業の舵取りを行う経営者層が繰り返し同じ言葉を伝えることで、目指す方向に必要なカルチャーを形成していきます。

トップのメッセージ
企業のトップが全員集会において講話をしたり社内報を通じてメッセージを発信することや、そもそもそういう場を作ることも1つの手です。その言葉の中に、目指したい企業の姿・文化をいつも統一したわかりやすい言葉で話すことで、合言葉のように社内に広がるかもしません。

社内ワークショップ
社内全員が話し合うワークショップや研修の場で、会社が定義した企業文化について、各々の言葉で議論することで、社員一人ひとりの理解が深まります。微妙な解釈の違いを少しずつアジャストしながら、自分なりの答えを持って行動できるようになることが期待されます。

カジュアルな対話
上司と部下が1対1で話し合う「1on1(ワンオンワン)」は、よく業績評価の目的で用いられる場ですが、従業員の様子を確認したり、業務に対してアドバイスを行う機会にもなり、頻度高くカジュアルな雰囲気で設定している人もいるようです。前後に日常生活や業務から離れて関心のあるニュースについて触れることもあるでしょう。そのなかで、管理職である上司が、会社が意図している価値観を意識的に会話の中に入れ込むことで、一般社員の理解促進につながることもあります。

また部やチーム単位のランチにもカルチャーが現れます。歓迎ランチをするかしないか自体に、新しい風に積極的なのか、必ず息抜きの時間を取って常にイノベーティブなアイディアを探究する雰囲気なのか、最後までやり切るまでは集中してがんばる体制なのか、といったことがにじみ出るでしょう。

モノで体現

「百聞は一見に如かず」とよく言われますが、伝えたいメッセージも目に見えるモノに表現されていると理解されやすいものです。例えばオフィス環境においても、デスクのレイアウトや個室や壁の有り無しは文化を象徴します。バーチャルオフィスだったとしても、背景画像にどのようなものを配るか・配らないか、といったところに企業の文化が現れます。体現するには普段使うモノで表現して毎日使ってもらうことでも浸透を狙えます。

 



4.企業文化醸成の一助に「カルチャーグッズ」

上記で紹介したような、カルチャーを形成していく様々な施策を整理すると、下図のようになります。

縦軸に施策を実施する難易度、横軸に従業員との接点頻度を置きプロットしてみると、難易度が低くないものが多いことに気が付きます。評価制度の整備や文書づくりにはそれなりの予算や工数が必要となりますし、毎朝の理念唱和やオフィス環境の変化は心理的なハードルもあるかもしれません。もう少しカジュアルに従業員との接点頻度高くできるものとして、1on1やランチなどがありますが、コロナ禍を経て出社頻度が下がった今や、リモートワーク型の組織では、特に食事会での交流が難しくなっています。そこで解決方法の1つとして挙げられるのが「カルチャーグッズ」です。

カルチャー形成のアプローチ施策



カルチャーグッズとは

「カルチャーグッズ」とは弊社GoodCulturesによる造語で、「カルチャーをはぐくむオリジナルグッズ」のことです。グッズという、形や感触で表現できるモノにカルチャーの意味を示し、日々愛用してもらうことで、カルチャーを自分ごととして理解し実践してもらえる可能性が高まります。



カルチャーグッズの例

ではどんなアイテムを通じてカルチャーを醸成していけばよいでしょうか。いくつかアイディアをご紹介します。

 

一体感を感じやすい定番アイテム

例えば一体感を感じやすいTシャツに、従業員にいつも思い出してもらいたい言葉をかっこいいデザインで入れ、普段着としても着てもらえるようなものに仕上げるのはいかがでしょうか。
リモート社員がいつも使うマグにブランドロゴを刻み、心はいつも共にあることを示してもいいかもしれません。

 

  この商品でグッズ制作

 

 

  この商品でグッズ制作

 

言行一致を示すエコグッズ

地球環境に配慮した新しいビジネスを目指すチームに、日々の思いやりある行動を応援すべく気分の上がるエコバッグやオシャレなマイボトルをプレゼントしてもいいでしょう。

 

  この商品でグッズ制作

   この商品でグッズ制作

 

従業員への愛があふれるギフト

必ずしもロゴや言葉を入れなくても、シンプルさや機能性を大事にしたデスク周りのアイテムや、何よりも従業員ファーストの価値感がにじみ出るよう、心地よい睡眠をサポートするパジャマやアロマオイルなどギフト性の高いものを贈ることでもメッセージが伝わります。

  この商品でグッズ制作     

  この商品でグッズ制作



限られた予算に応じて、従業員の日常に溶け込む施策の1つとして「カルチャーグッズ」の制作はいかがでしょうか。

 

 

まとめ

企業の存続をも左右する企業文化。カルチャー作りのヒントは得られましたか。

CultureGoodsでは、企業の表現したい想いを伝えていただければ、それを1番よく現わすアイテムの選定から、言葉やロゴのデザインと加工、個別配送や開封時の演出を含め、全てのプロセスを弊社グッズプランナーが伴走いたします。
ここまでのフルサポートで、さらに企業の想いを表現しやすいストーリー性あるアイテムの品ぞろえが豊富なサービスは他にありません。ぜひカルチャー醸成のお手伝いはCultureGoodsへ。

 

参考文献:

波頭 亮(1999年)「組織設計概論―戦略的組織制度の理論と実際」産能大出版部
唐澤俊輔(2020年)「カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」ディスカヴァー・トゥエンティワン