「企業文化」は経営を支えるとも言える重要な要素。会社を創業した時の想いから、事業の目的や提供するサービスや商品、リーダーの姿勢に共感して集まった仲間によって文化は深化され、時として例えば会社の転換期にはあえて別の企業文化に移行するためにハード面・ソフト面から仕組みを変えたり、その後の安定期に社員が深めたりと、トップダウンとボトムアップの双方から形成されたりします。

自社のカルチャーを知り、深めたり、方向転換する時に役立つフレームワークとして、組織文化の種類について学んでみましょう。

 

 

企業文化の特徴とは

まずアカデミックな分野から、あらためて企業文化について見てみましょう。企業文化は様々な研究者によって幅広いテーマで研究されてきました。経営学の最前線を追う世界的ビジネス誌・ハーバード・ビジネス・レビューで紹介されているグロイスバーグ氏らの記事によると、これまでの企業文化に関する研究を総括すると、企業文化には次の4つの特徴があるそうです。

共有されている

企業文化とは集団の中に存在するものであって、いち個人によって形成されるものではありません。また1人1人を掛け合わせた平均値でもなく、従業員の行動や価値基準、前提などの中に内在するものです。逆を返せば一部の人だけに通ずるような判断基準や行動は企業文化とは言えず、組織として経営課題に立ち向かおうとしたときに力を発揮できません。

浸透している

カルチャーは様々なレイヤーに浸透し、組織に幅広くあてはまるもの、つまり縦にも横にも広まっているものです。文化は集団行動や物理的なシンボル、習慣などわかりやすいものから、マインドセットやモチベーションなどの目に見えないものなど様々な形で現れます。

永続性がある

文化は瞬間的にできるものではなく、長期的に組織を構成する人たちの考えや行動の指針としての役割を果たします。集団生活における重要な出来事や学習を通して培われ、永続性があります。人は自分と似た性質の組織に惹き付けられ、組織の側も適合性の高そうな個人を選抜する傾向があるので、その組織の文化に適合しない人はやがて組織を去っていきます。このため、文化はおのずと強く根付いていき、次第に変化や外部からの影響に抵抗するようにもなり、故に特定の考え方や行動様式が長く組織を支配するということになるのです。

黙示的である

人間は、文化というものを本能的に認識してそれに反応するよう、うまくできているため、言葉で表されていなくても理解できます。「郷に入りては郷に従え」ということわざは、英語にも「When in Rome, do as the Romans do」として存在しますが、新しい社会や組織の文化に順応するために、非言語的な情報を認知して同じ行動様式を取ることができるのは、人間が社会で生きるための術なのかもしれません。

会社の創業者が意図的に、こうありたいと描く組織の姿をカルチャーと定義してパワポのスライドを作ったとしても、本当の意味で「文化」として力を発揮するには、組織内で共有され、浸透し、時間をかけて深められ、言葉で示さなくても行動として現れている状態にならないといけないということがわかります。

企業文化は誰が決めるのか

では「企業文化」は一体誰が決めるのでしょうか。「企業」「経営」「組織」の観点から探ってみましょう。

 

そもそも「企業」とは

「企業文化」を考える前にまず「企業」とは何かを考えてみましょう。企業、つまり会社とは何か、一般的に辞書での定義は「営利を目的として事業を行う法人」ということになりますが、何のために何をするのか、それは会社によって異なります。

コロナ禍、休業を余儀なくされたり在宅勤務で仕事をこなすようになり、働き方、そして生き方、さらには会社の在り方まで問われるようになりました。また気候変動による影響をより実感するような異常気象を体感したり、人権問題が取りざたされるようになり、これ以上地球や社会に負担をかけるような利益追求の限界を感じはじめ、企業が何のために存在するのか、といった「パーパス経営」に着目されています。

モノもサービスも溢れる社会、つまり似たような新興企業がひしめく中で、自社の差別化とあり方を明確に示さなければ生き残ることができません。これはスタートアップに限らず、大企業であっても安泰ではありません。テクノロジーの進化によって革新的な方法であっという間に世の中を席巻することができる今、どの企業も危機感を持っています。

 

経営は戦略と組織から成る

そして会社の方向性を決めるのは、その役割を任された経営陣です。経営は戦略と組織を活かして行うことであり、つまり会社が存続するための経営に向けて、よい戦略を立て、それに見合う組織体制や組織文化を整えるということです。どういう組織なら会社が生き残れるか、世の中に新しい価値を生み出し続けられるかを考え、定義するのは経営者の仕事です。「○○な価値を生み出せる組織」「○○に対応できる組織」といった形で表現されるかもしれませんが、それはとりもなおさず組織文化を定義していることになるのです。

経営・戦略・組織の関係

 

組織が戦略を飲み込む

もちろん考え方として、組織という資本を基に何ができるかを見出し戦略を練り、経営するということもあるでしょう。この場合は今ある組織の能力がベースとなり、その組織を築いてきたのは組織自身、つまりボトムアップでできたものだとも言えます。

経営学でかの有名なドラッカー氏は、「Culture eats strategy for breakfast(企業文化は簡単に戦略を食べてしまう)」と述べています。どんなによい戦略でも企業文化によってはうまく実行に結びつかない、とも捉えられますし、企業文化はそれほど強烈であるということにもなります。企業の経営を誰が担うかを決めるのも組織自身かもしれません。どのような人材が賞賛され昇進するかは、企業文化に拠ります。

つまり企業文化を決めるのは経営トップと組織ボトムの双方向だと言え、ここまでくると、卵が先かニワトリが先か、の話になってしまいますが、組織そのものは会社を興して初めてできるので、経営者をスタートとすると、そのリーダーシップスタイルが企業文化の定義に大きく影響します。

 

企業文化の8つのタイプ

経営トップのリーダーシップスタイルが企業文化の定義に影響するということで、そのスタイルごとに企業文化の種類を定義したのが、長年組織開発に携わってきた唐澤氏の提唱している「カルチャーモデル」です。権力を集中させているか分散させているか、また安定志向か変化志向かという4象限で、カリスマリーダー経営・チームリーダー経営・全員リーダー経営・複数リーダー経営という型を表現し、それぞれに適するカルチャーの在り方を定義しています。

これとは少し別の見方になりますが、これを8象限で表現しているのが、前述のグロイスバーグ氏らの研究です。では1つずつ見ていきましょう。

 組織文化の8つのタイプ

秩序

秩序を重んじる職場において、従業員がルールを守って周囲に適合しようとする傾向があります。従業員は協力することで一体感を感じ、リーダーはこれまでの習慣や手順を守り大切にします。

 

安全性

計画性・慎重さ・用意周到などの価値感が重んじられます。予測がしやすい職場環境下で、リスクに敏感な人たちが周到に考え抜いたうえで仕事をします。リーダーは、現実的な発想と事前に計画することを重要視します。

 

権力

職場には競争心がみなぎっていて、誰もが「優位に立ちたい」と努力します。従業員同士が結束するのは強いリーダーシップによるもので、リーダーは自信と優越性を大事にします。

 

結果志向

何よりも結果を重視する成果主義が強い職場で、従業員は最高の成果を出すことを目指します。従業員は、高い能力と成功を追い求め、リーダーは目標の達成に向けて社員のモチベーションを上げます。

 

楽しさ

「楽しい」と感じる職場で、社員それぞれが幸せと感じられることを仕事にしています。同僚同士は遊び心や刺激で結ばれており、リーダーは自発性とユーモアのセンスを重視します。

 

学習

自ら進んで行動し、独創性に富む環境において、社員は新鮮なアイデアをひらめき、さまざまな代替案を探ります。従業員は好奇心が強く、リーダーはイノベーションや冒険の重要性を説きます。

 

目的意識

職場は寛容で思いやりに満ち、従業員は遠い未来を見据えて世の中のために尽くそうとします。持続可能性と国際社会を重んじる姿勢を持ち、リーダーは理念の共有と大義への貢献を重視します。

 

思いやり

人間関係と従業員同士の信頼が全てです。職場は暖かく、協力的で、ウェルカムな雰囲気です。リーダーは誠実さやチームワーク、良好な関係を重視します。

 

まとめ

ご自身の組織はどれに当てはまるでしょうか。そして理想とも合致しているでしょうか。

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