新卒で入社した社員のうち、残念ながら3割は3年以内に退職しています。せっかくのコストをかけて採用したのにすぐ辞められてしまうと困る、と感じるのが人事。それを補うためになんとか新入社員を繋ぎ止めておこうと様々な施策を打つこともあると思います。今回はその1つの策であるオリジナルグッズについて、考えてみましょう。

 

 

「3年3割」の実態

3年で新卒社員の3割が辞めてしまうのは、いわゆる「Z世代」と呼ばれる最近の若者世代に忍耐強さがなくてすぐ体調を崩したり、辞めてしまったりするのでしょうか。そしてその要因は何でしょうか。

いくつかの調査から実態を把握し、解決策の鍵を探っていきましょう。

 

3年で3割はこの数十年変わらない

厚生労働省の調査によると、新卒で就職してから3年以内に離職する割合はバブル崩壊以降は30%台をほぼ横ばいで推移していることがわかります。そもそも離職率は景気の影響を受けやすいのですが、バブルが崩壊した1990年代初頭は、例え辞めたくても次の就職先が見つかりづらいため我慢するケースが多く、相対的に低めでした。その後、就職して継続さえすれば給与もポジションも担保されるという時代が終焉し、転職することが珍しくなくなってきて、30%台後半を推移していましたが、最近は30%台前半をキープしています。

新卒入社3年以内の離職率の推移

いつの時代も「最近の若者は・・」と言われますが、決して「ゆとりだから、Z世代だから、忍耐力がなくてすぐ辞めてしまう」というわけでもなさそうです。ちなみに総務省の労働力調査によると、転職希望者の絶対数は年々増加傾向であることは続いています。

 

転職の理由と企業の対応

リクルートの就職みらい研究所の調査によると、卒業後最初の就職先での退職理由として最も多いのは、仕事内容への不満や人間関係、労働条件に関する不満です。主な理由として1つだけ選んだ時の回答では人間関係への不満が最も多いようです。

卒業後最初の就職先の退職理由

それに対して企業の対策は、別の調査ですが厚労省によると、コミュニケーションを積極的にすることで解決を図ろうとしている企業が多いようです。調査で回答している企業の半数以上が職場での意思疎通の向上や採用前の詳細な説明と情報提供をしていると回答しました。

若年労働者定着のために実施している対策

つまり「こんなはずじゃなかった」ということに関して、コミュニケーションの量と質を増やすことで、お互いの「ミスマッチを防ぐ」というのが一般的な考え方とも言えます。

しかし限られた時間の中で、どれくらい効果的に会社のことを伝えられるでしょうか。接点を増やそうとすると企業側も工数が取られますし、学生も「いろいろと」、忙しいところです。会社のことが端的によくわかる、アイコン的なものが必要かもしれません。

 

根本的なカルチャーのテコ入れは?

仕事内容への不満や人間関係に関する不満が多いということは、その仕事や人間関係そのものに問題は無いのでしょうか?同じリクルートの調査内では、勤務先を辞めたいと思う状況の理由について答える質問の自由回答をいくつか公開しています。「サービス残業が多い」「できない人には冷たい態度を取る」「覚えることが多すぎて頭がついてこない」などといった仕事や人間関係に関するネガティブな感想が回答されており、例えばこうしたありのままの状況について、果たして採用前のコミュニケーションで伝えることができるでしょうか。むしろ、そのようなネガティブなことが起きているのだとしたら、根本的に職場の環境から変える必要があるかもしれません。

 

「離職は悪」とも限らない

求人情報サイトを運営しているビズヒッツ社の調査によると、新卒入社から3年以内の転職で満足している人はなんと8割を超えています。自社にとっては人材の流出という悲しい出来事ですが、結果的に転職をして満足と思う人が多いというのは社会全体にとってみれば良いことです。

新卒入社3年以内の転職での満足度

1つの会社に何の理由もなく固執するよりも、更なる機会を求めてステップアップしていく若者を快く送り出すのも、「社会の公器」としての役割を担っていることになります。繋ぎ止めるためだけに会社の福利厚生費を増額するなどコストを払うより、優秀な人材を世の中に輩出することで経済全体が活性化され、ゆくゆくは自社の付加価値向上にもつながるという長期的な目線も必要です。

マクロの観点で見ると、「労働市場の流動性」(労働者の企業間の移動しやすさ)が高ければ高いほど、「労働生産性」(従業員1人あたりが生み出す付加価値)が高いという正の関係が確認されています。経産省内に設置された「未来人材会議」の資料によると、欧米をはじめ労働市場の流動性が高い国は労働生産性も高いのに対し、日本は双方ともに低く、長年の通念であった年功序列・終身雇用という雇用システムが尾を引き、労働市場の硬直性が労働生産性の低迷を引き起こしている可能性を指摘しています。AIの発展により「リスキリング」がキーワードとなっている昨今、会社に限らずキャリアやスキルを時には方向転換することが求められています。

労働市場の流動性と労働生産性

ミクロで見れば、社内の新卒が3年以内に離職する割合が低ければ低いほど、従業員のエンゲージメントが高いという相関関係も、厚労省の「令和元年版 労働経済の分析」で明らかにされています。自社を好きになってもらい、より長くいることで活躍の機会も増えますし、他の社員にも良い影響を与えます。

転職・離職と経済的な効果についての見方は、バランスや中身が大事になってきます。

 

「3年3割」に打ち勝つ企業文化の浸透

前述したとおり、新卒が3年で3割辞めてしまうことが悪であり、単なる企業の努力不足であるとは言い切れません。この数字を追っかけて割合を減らすことを目標にして、意味がある会社もそうでもない会社もあるかもしれません。ただ、互いに不幸なミスマッチを防ぐという意味で、自社の企業文化をしっかりと理解してもらうということは大切です。

 

企業文化の浸透方法

新しく入社してもらう社員に一丁目一番地に理解してもらうべきことは、企業の方向性と文化です。社員がどのように仕事をするかは会社の方向性、つまり戦略と企業文化で大きく変わります。企業の戦略は図表やキーワードによって説明できますが、企業文化は言葉で端的に説明できないものと捉えられがちです。繰り返し伝える「量」と、一目瞭然わかりやすいもので伝える「質」の両方が必要になってきます。その施策の1つとしてオリジナルグッズを渡すという手があります。

 

企業文化をモノで体現する

人の入れ替わりが激しかったり、無名で誰も応募に来てくれない、ライバル企業がたくさんひしめき合うスタートアップ界隈では、少しでも自社を魅力的に見せるために内定者や新入社員向けに会社のロゴが入ったオリジナルグッズをたくさん箱に詰めて、高揚感の得られるグッズを渡すケースが増えています。自分が緊張しながらも面接を受け、悩んだり葛藤しながら選んだ会社のロゴが入ったオリジナルグッズは、ひと目見て愛着が湧いてくるものです。そのグッズアイテムが会社そのものを体現していたら、スッと社員の心に入っていきます。この貴重な瞬間に、視覚的に企業文化を伝えるチャンスを生かさない手はありません。

 

体現したそ企業文化はホンモノか

これから会社に入ってくれる大切な仲間に伝えたい企業文化は、ほぼ間違いなくポジティブなものでしょう。組織には負の側面が全く無いということはあり得ませんし、人によって受け止め方は違います。例えどこか納得いかなかったり、入社後のギャップが生まれたとしても、何か心を強く惹かれるような企業文化の側面があれば、この会社で貢献したいという想いを持ち続けてくれます。自社の中で誇れるような文化は何か、それはどういう言葉や形で表現できるかを考えてみましょう。

企業の「バリュー」をモノに体現することもあるかもしれません。バリューはミッションやビジョンなどのありたい姿から導き出されたある種の理想であることも往々にしてあります。その場合、コンセプトと実態や行動を一致させるのはそう簡単なことではありません。新入社員に「こんなメッセージが伝わるといいな」から考えを巡らせてみつつ、実際もそれが感じられる職場なのか、これを機会に自問してみるのも良いでしょう。グッズが企業の姿を映し出す、ある種の鏡となって、ありたい企業文化作りに一役買ってくれるかもしれません。

 

新卒ウケ抜群!カルチャーグッズおすすめ5選

自社のカルチャーが伝わりやすく、新卒にウケのいいグッズはどんなものでしょうか。伝えたい自社のカルチャーのキーワードと共に、おすすめ5選を紹介します。

伝えたいメッセージは1つでも、組み合わせでも、自社らしい演出を考えてみてください。

 

従業員のことが何よりも大事:スリープウェア

TENTIALスリープウェア
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どんな業績であろうと、市場環境であろうと、まずは従業員を一番に想う会社であることを示すには、思いやりの気持ちが伝わりやすいアイテムが最適です。TENTIALのスリープウェアは、快適な睡眠とリカバリーをもたらしてくれます。日中会社のために貢献してくれている分、夜は心身共にリラックスしてもらいたいというメッセージで、社員には「自分は大事にされている」と感じとります。

プライベートな場にまで会社のものを持ち込みたくない、という社員もいるかもしれません。社員に向けたグッズには必ずロゴを刻印する必要はなく、会社の気持ちを込めたアイテムとして贈ることができます。

従業員のウェルネスアイテムはこちらから検索ください。

 

プロ意識はどこにも負けない:ステンレスタンブラー

オリジナルタンブラー
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専門性や技術力を誇る会社で、プロフェッショナルさや職人気質のようなものがカルチャーの中枢である会社であれば、職人の技術が光る逸品がふさわしいでしょう。

入社したばかりの新卒社員はいいものを買いたいけど、まだボーナスが出たりお金が貯まるまでは我慢することもあるので、高品質のいいものを受け取るととても喜しいものです。新生活では心身ともにストレスが大きいのでビールでも冷たいお茶でも、クッと身体にしみ渡る美味しさを届けるステンレスタンブラーがおすすめです。

 

お客様の生活を豊かにする情熱:タオル

オリジナルグッズのタオル
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ふわふわの高級なタオルは、暮らしに豊さを与えてくれます。自社の製品やサービスもそんな嬉しい存在であって欲しいという想いを込めることができます。タオルは毎日使う必需品で、何枚あっても困らないものです。インテリアにこだわりを持って統一した色合いで揃えている人にとっても、生活のどこかで活用してもらえるでしょう。

 

イノベーションが全ての源泉:ノート

オリジナルグッズのノート
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既存のやり方ではもう飽和市場で先行かない時代、気候変動や少子高齢化や様々な課題と共にコストとリスクが山積していく時代、世の中の変化が激しくすぐに対応できないと淘汰されてしまう時代、うまくやっていく鍵を握るのは「イノベーション」です。新しいアイディアや融合、モデル図、思いついたものを書き留めるにはデジタルな時代でもノートが活躍します。常に変革を起こし続ける会社であるためには、いかなる投資も壁も厭わないという前向きな姿勢をグッズに込めることで、従業員の士気を高めることができるかもしれません。

 

社会や地球への配慮が使命:マイボトル

オリジナルグッズのマイボトル
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若い世代は購買力がまだ低く、普段手にしているものにこだわりを持てないことも往々にしてありますが、環境や社会に対して配慮することについてすんなりと共感する世代でもあります。ひとたびアイテムを手にすれば自然なスタイルで会社の活動に協力してくれることでしょう。気候変動や「ネットゼロ」を意識したキーワードをパーパスやミッションに掲げる企業も増えてきましたが、行動ができてこそ実現するものです。コミット通りにアクションを起こしていきましょう。

 

まとめ

新卒社員に自社を好きになってもらい、自社の職場で能力を存分に発揮してもらいたいという気持ちを込められるグッズを紹介しました。

あくまでグッズを用意することが目的化してしまい、そのモノで体現するカルチャーが本質的に備わっていなくては本末転倒です。

CultureGoodsでは、グッズのアイテム選びからメッセージ性の深化、プロジェクト単位でのロゴやアイコンの作成など、きめ細やかな伴走を通して、企業のカルチャーの体現化と浸透をお手伝いします。

具体的なことが何も決まっていなくても大丈夫です。こちらからお気軽にご相談ください。

オリジナルグッズ制作の無料相談

参考文献
新規学卒就職者の離職状況」厚生労働省(2019)
2020年入社 新入社員の就業実態」就職みらい研究所(2021)
平成30年若年者雇用実態調査」厚生労働省(2019)
新卒3年以内の転職に関する意識調査」株式会社ビズヒッツ(2021)
第1回未来人材会議 資料4事務局資料」経済産業省(2021)
令和元年版 労働経済の分析」厚生労働省(2019)