オリジナルグッズの納品時の検品・受け入れ検査の進め方|数量・名入れ・不良品の判定基準と再製作の対応を品質管理視点で解説2026
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創立20周年の記念ボトルが500本、金曜の夕方にオフィスへ届いた。担当者は段ボールを2箱だけ開け、上の数本を見て「きれいに仕上がっていますね」と写真を撮り、月曜の全社朝礼で配った。配り終えた午後、総務の席に3人が並んだ。「底のロゴがかすれている」「キャップが閉まりきらない」「私の分がない」。
不良は全体の2%弱、数量は8本足りなかった。制作会社に連絡したのは月曜の午後で、納品から3日が経っていた。再製作の交渉は、時間が経つほど難しくなる。
校正を通し、量産が終わり、荷物が届く。この「納品」の瞬間に、グッズの制作は終わったように見える。けれど、品質を確かめる最後の工程はここにある。この記事では、グループの自社工場で出荷前の検品を毎日行っている私たちが、届いた日にやるべき受け入れ検査の手順、不良と判定する基準の決め方、数量不足や不良が見つかったときの制作会社との交渉の進め方を、担当者がそのまま使える形で整理した。
納品日にやることは3つ|開ける前・開けてすぐ・開けた後
受け入れ検査と聞くと、全数を1個ずつ見る作業を想像する人が多い。実際に必要なのは、順番を守った3段階の確認で、500個なら1時間で終わる。
| 段階 | やること | 所要時間の目安(500個) |
|---|---|---|
| 開ける前 | 外箱の個数と納品書の照合、外箱の破損・水濡れ・つぶれの写真撮影 | 10分 |
| 開けてすぐ | 箱ごとの入数の確認、内箱・緩衝材の状態、基準見本との照合(1個目) | 15分 |
| 開けた後 | 抜き取り検査(後述)、名入れ・機能・サイズ別数量の確認、記録と制作会社への報告 | 30〜40分 |
冒頭の担当者が飛ばしたのは、1段階目と3段階目だった。外箱の個数を納品書と照合していれば、8本の不足はその場で分かった。抜き取り検査をしていれば、2%の不良は配る前に見つかっていた。
そして、見落とされがちなのが「納品日にやる」という条件になる。多くの制作会社は、納品後の不良申告の期限を「納品日から7日以内」「10日以内」と契約や注文条件に書いている。期限を過ぎると、不良が制作会社の責任でも、無償の再製作は交渉になる。届いた日に開けられないなら、翌営業日に開ける。配布日まで倉庫に置いたまま、という判断だけは避けてほしい。
抜き取り検査の進め方|全数を見なくても品質は分かる
500個の全数検査は現実的ではない。工場では出荷前に全数または抜き取りの検品を済ませているので、お客様側の受け入れ検査は「工場の検品が機能しているか」を確かめるのが目的になる。その目的なら、抜き取りで足りる。
どこから何個抜くか
やり方は単純で、複数の外箱から、箱の上・中・下の位置を変えて抜く。1箱の上層だけを見ると、同じ時間帯に作られた同じ品質のものばかりを見ることになる。量産は時間をかけて進むので、不良はロットの途中や終わりに固まることが多い。
| 納品数量 | 抜き取る個数の目安 | 抜き方 |
|---|---|---|
| 〜100個 | 全数 | 少数なら全部見るほうが早い |
| 101〜500個 | 30〜50個 | 全外箱から各5〜10個、上・中・下から |
| 501〜2,000個 | 80〜125個 | 外箱の半数以上から、上・中・下から |
| 2,001個〜 | 200個前後 | 外箱をまんべんなく、ロット番号が分かれていれば各ロットから |
この個数は、製造業の抜き取り検査で広く使われる基準(JIS Z 9015の通常検査・一般検査水準II)の考え方を、グッズの受け入れ向けに丸めたものになる。厳密な統計の運用をお客様に求めるつもりはない。「複数の箱から、位置を変えて、数十個」を守れば、工場の検品の漏れは十分に見つかる。
抜いた1個で見る6項目
抜き取った1個ずつを、校正で承認した基準見本と並べて見る。見る項目は6つで、順番にも意味がある。
| 項目 | 見るポイント | 不良の例 |
|---|---|---|
| 名入れの内容 | ロゴ・社名・年号が承認した校正と一致しているか | 旧ロゴ、年号の誤り、別案件のデータ混入 |
| 名入れの仕上がり | かすれ、にじみ、位置ずれ、傾き、色の違い | ロゴ端のかすれ、基準見本より暗い色、2mm以上の位置ずれ |
| 本体の外観 | 傷、へこみ、汚れ、色ムラ、ほつれ | ボトルの塗装の剥がれ、生地の織り傷、縫い目のほつれ |
| 機能 | 開閉、密閉、動作、着脱など、使ってみて分かること | キャップが閉まらない、ファスナーが引っかかる、充電できない |
| 付属品と包装 | 個箱、説明書、リボン、袋の有無と状態 | 個箱の角つぶれ、説明書の欠品、袋の破れ |
| 表示・法令 | 食品表示、PSEマーク、洗濯表示、原産国など必要な表示 | 表示シールの貼り忘れ、賞味期限の印字漏れ |
私たちの工場で、出荷前の検品で引っかかる項目として多いのは、2番目の「名入れの仕上がり」と4番目の「機能」だ。名入れの内容そのものが違っていた例は、校正の工程がきちんと通っていればほぼ起きない。目は名入れの内容に向くが、不良は仕上がりと機能に出る。この偏りを知って見ると、検査の精度は上がる。
校正で基準見本を1つ保管しておく理由は、ここにある。「この色でいいか」「このかすれは許容か」を、記憶ではなく実物との比較で判断できる。基準見本がない場合は、校正で承認したPDFと、サンプルの写真を印刷して手元に置く。校正と基準見本の決め方は校正・サンプル確認の進め方に書いた。
不良の判定基準|「気になる」と「不良」を分ける線
抜き取った50個のうち、3個のロゴがわずかにかすれていた。これは不良か。この問いに答えられないまま制作会社に連絡すると、「仕様の範囲内です」と返されて終わる。判定の線を、連絡の前に自分で引いておく。
3段階に分ける
| 区分 | 内容 | 対応 |
|---|---|---|
| 重大不良 | 使えない、安全に関わる、名入れの内容が違う、法令表示がない | 該当品は配布しない。制作会社に即日連絡し、交換または再製作 |
| 軽微不良 | 使えるが、基準見本と比べて明らかに劣る(かすれ・傷・位置ずれ) | 個数を数え、制作会社に報告。交換・値引き・次回対応のいずれかを協議 |
| 許容範囲 | 基準見本との差が、手に取った人が気づかない程度 | 不良として扱わない。ただし件数は記録し、次回の発注時に伝える |
線の引き方で迷うのは、2段目と3段目の境になる。判断の方法として、私たちがお客様に勧めているのは、「配る相手の立場で、手に取った瞬間に気づくか」を基準にすることだ。ルーペで見れば分かるかすれは、許容範囲でいい。会議室の照明の下で、社員が受け取って3秒で気づく傷は、軽微不良になる。
この線は、校正の段階で制作会社と合意しておくのが理想になる。「名入れの位置ずれは±2mmまで許容」「色はこの見本帳の隣の番号まで」といった取り決めが校正時にあれば、納品時に揉めない。合意が無かった場合でも、基準見本との比較で「明らかに劣る」ものは、制作会社も不良として扱うのが通常だ。
数量の確認|「足りない」は検品で最も多い申告になる
不良よりも頻度が高いのが、数量の問題だ。全体の数が足りない、サイズ別・色別の内訳が注文と違う、部署ごとに分けた箱の中身が入れ違っている。
確認の方法は、外箱の個数 → 箱ごとの入数表示 → 実数の3段階で絞り込む。外箱が10箱で各50個入りなら、500個のはずだ。箱の側面にある入数の表示を見て、表示通りなら実数の確認は抜き取りの箱だけで済む。表示がなければ、箱ごとに数える。
サイズ展開や色展開のあるアイテム(Tシャツ、ポロシャツ、ソックスなど)は、内訳表を納品書と並べて照合する。「合計500枚は合っているが、Lが20枚少なくSが20枚多い」という納品は珍しくない。合計だけ見て受け入れると、配布の日に困る。
数量が合わない場合、まず納品書と注文書を見比べる。注文時の数量と納品書の数量が違えば、発注の記録が正しいほうを示す。見積もりの段階で予備数をどう扱ったかも影響するので、見積もりの見方で書いた「数量の内訳」を手元に置いて照合してほしい。
不良や不足が見つかったら|制作会社への連絡と交渉の手順
問題が見つかったとき、連絡の仕方で結果が変わる。感情的に「全部やり直してほしい」と伝えるより、事実を並べたほうが早く、望む結果に近づく。
連絡は当日、文字と写真で
電話で第一報を入れるのは構わないが、必ずメールかチャットで記録を残す。書く内容は5点になる。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 納品の事実 | 10月9日14時受領、外箱10箱、納品書番号〇〇 |
| 検査の方法 | 全外箱から各5個、計50個を抜き取り、基準見本と照合 |
| 見つかった問題 | 底面ロゴのかすれ3個(写真添付)、キャップ不良2個、数量不足8本(箱3と箱7が各46本入り) |
| 希望する対応 | 不良5個の交換と不足8本の追加納品。配布日は10月20日のため、10月17日までに到着希望 |
| 保留の扱い | 不良品は返送せず保管。配布は対応の回答を待ってから開始 |
写真は、問題の箇所に加えて、基準見本と並べた写真があると判断が早い。「かすれている」と言葉で伝えるより、正常品との差が一目で分かる。
対応の選択肢は4つ
制作会社から提示される対応は、通常この4つのどれかになる。配布日までの時間と、不良の程度で選ぶ。
| 対応 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 該当品の交換・追加納品 | 不良が少数、配布日まで1〜2週間ある | 版を使う技法なら再製作に版が必要。保管してある版の有無を確認 |
| 全数の再製作 | 重大不良がロット全体に及ぶ、名入れの内容が違う | 3〜6週間かかる。配布日の変更が必要になることが多い |
| 値引き・返金で受け入れ | 軽微不良で、配布日が迫っていて再製作を待てない | 不良品を配布に使うかどうかは社内で判断。配布しない分の金額を基準に交渉 |
| 次回発注で補填 | 継続的に発注している制作会社で、今回は影響が小さい | 口約束にせず、次回の見積もりに反映される形で文字に残す |
配布日が迫っているなら、「不良品を除いた分だけ先に配り、交換分は後日配る」という分割の判断もある。周年の記念品で、一部の社員だけ後日になるのが不自然なら、全員分がそろうまで配布を延ばす。何を優先するかは担当者が決めることで、制作会社が決めることではない。その判断材料として、交換にかかる日数を制作会社に先に聞いておく。
費用負担の原則
承認した校正と違うもの、基準見本と明らかに劣るもの、数量不足は、制作会社の責任になる。交換・再製作の費用と送料は制作会社の負担が原則だ。
逆に、承認した校正通りに作られたものは、たとえイメージと違っても、制作会社の責任にはならない。「思ったより色が暗い」は、校正で確かめるべきことだった。校正の承認記録が、ここで効いてくる。承認の文面に何を書いておくべきかは、校正・サンプル確認の進め方で触れた。
検品を楽にする、発注時の3つの準備
受け入れ検査は、届いてから始まるものではない。発注の段階で3つを決めておくと、納品日の作業は半分になる。
納品の形を指定する
「500個」とだけ注文すると、工場の都合で梱包される。「1箱50個入り、外箱に入数と内容を表示、部署別に分ける場合は箱にラベル」と指定しておけば、数量の確認が外箱を見るだけで済む。配布を考えると、部署別・拠点別の小分け梱包を頼んでおくほうが、後の仕分けの手間も消える。分けた後の在庫の持ち方は在庫管理・発送代行ガイドに書いた。
予備数を入れる
500人に配るなら、500個ちょうどではなく、3〜5%の予備を注文する。軽微不良の交換を待たずに配れるし、配布後の「もらっていない」「壊れた」にも対応できる。予備の分は、見積もりの単価にほとんど影響しない。
検品の基準を制作会社と共有する
「納品後、全箱から抜き取り50個で検査します。基準見本との照合で、名入れの位置ずれ±2mm、かすれ・傷は手に取って気づくものを不良とします」と、発注時に伝える。これを伝えられた制作会社は、出荷前の検品でその基準を使う。検査の基準を先に共有するだけで、不良が届く確率は下がる。
そして、この問いに具体的に答えられる制作会社かどうかが、品質管理の体制を見分ける材料になる。「出荷前の検品は全数か抜き取りか」「不良申告の期限は何日か」「基準見本を保管しているか」。見極めの観点はオリジナルグッズ制作会社の選び方にまとめている。
自社工場で出荷前に、私たちがやっていること
グループの自社工場で製造しているので、出荷前の検品を外注に頼らない。お客様の受け入れ検査が短く済むように、いくつかの進め方をしている。
まず、校正で承認された基準見本を工場で保管し、量産の最初・中間・最後の3点を基準見本と照合する。ロットの途中で名入れの濃さが変わっていないか、ここで見る。
次に、名入れの仕上がりと機能は、技法ごとに決めた項目で検品する。布製品は洗濯耐久の確認済みサンプルを基準にし、ボトルは密閉の確認を全数で行う。お客様が受け入れ検査で見る6項目のうち、「機能」はこちらで全数を見ておく、という分担になる。
そして、納品時に検品の記録を添える。出荷日、検品数、見つかった不良と除外した数、基準見本との照合結果。これがあると、お客様側の抜き取り検査は「記録通りか」の確認になり、所要時間が短くなる。
納品後の不良申告は、受け取った日から数えて10営業日を受け付けの目安にしている。ただ、配布の日程が迫っているお客様には、期限より先に「届いた日に2箱だけ開けてください」と伝えている。冒頭の担当者のような3日間の空白を、作りたくないからだ。
よくある質問
検品は誰がやるべきですか
発注した担当者が1人で見るのが基本になる。校正を承認した人が同じ目で納品品を見るのが、基準のぶれが少ない。500個以上なら、2人で分担して1時間程度を見込む。配布する部署の人を巻き込むと、「気になる」の基準が人数分増えて収拾がつかなくなるので、検品の段階では関わらないほうがいい。
納品書に「検収印」を求められました。押していいですか
検収印は「受け取って内容を確認した」という意味を持つ。押す前に、少なくとも外箱の個数と1箱の中身は確認する。全数の検査が終わっていないなら、「数量確認済、品質は〇日までに確認」と備考に書き添えてから押す。配送業者の受領印とは別物なので、混同しない。
不良品は返送する必要がありますか
制作会社から求められるまで、返送せずに保管する。写真と個数の報告で足りることが多く、原因の調査で現物が必要なときだけ返送を求められる。返送の送料は、不良が制作会社の責任なら制作会社の負担になる。勝手に処分すると、不良の証拠がなくなるので、対応が終わるまで置いておく。
配布後に社員から不良の申告がありました
申告の内容と個数を集め、受け入れ検査の記録と合わせて制作会社に伝える。抜き取り検査で見つからなかった不良が配布後に出るのは、ロットの一部に不良が固まっていた場合に起きる。不良申告の期限内であれば、通常の交換の対象になる。期限を過ぎていても、記録が残っていれば交渉の余地はある。だからこそ、受け入れ検査の記録は残しておく。
検品は、グッズが「配れるモノ」になる最後の工程になる
見積もりで予算を決め、入稿データでデザインを渡し、校正で仕上がりを確かめ、納品で実物を受け取る。この流れの最後にある受け入れ検査は、やらなくても怒られない工程だ。だから、飛ばされる。
飛ばした結果は、配った後に社員の口から返ってくる。「かすれている」「私の分がない」。その言葉を担当者が聞く場面を、1時間の検品で防げる。
私たちが出荷前の検品に時間をかけるのは、不良を減らすためだけではない。届いた箱を開けた担当者が、社内で胸を張って配れる状態で渡したいからだ。受け入れ検査は、その最後の確認を担当者の手に委ねる工程になる。
GoodCulturesは、B Corp認証を国内51番目に取得した。グループの自社工場で品質を管理しながら、企画の整理から見積もり・校正・製造・検品・発送までを一貫して担っている。納品の形や検品の基準の相談から受けている。実際の制作の流れは制作事例で紹介している。